癌は現代医学では治らない(8)
今思うに、癌というより、現代医学の力だけでは救えない難病全般の治療を通じていえることは、崖から足をすべらせて落ちかけている人を、上からロープを垂らして助け上げるのに似ていると思います。
崖の上からお医者さん、家族が力を合わせて引っ張り上げないとだけなのです。
それをだれかが、「もうだめだ」と手を放してしまえば、力不足で引っ張り上げることはできない。もちろんみんながあきらめて、手をさしのべてくれなくては助かりようがありません。また、いくら崖の上から助けようと努力して頑張っても、当の落ちかけている本人が、それに応えようと頑張らなくてはどうしようもありません。
自分から助かろうと努力しなくてはだめです。人まかせではだめなのです。みんなの力がひとつになってこそ、大きな力となり得るのです。
どんな小さな可能性でもあきらめず試してみて下さい。お医者さんも、自分の治療法だけが正しいのだなどと思わず、患者やその身内がよいと思って試すことに協力していただきたいと思います。家族が死んでいくのをじっと見ているほどつらいことはありません。少しでも可能性を見つけて頑張ってほしいと思います。
この記事は昭和62年10月発行の書籍『「主治医」はだんなさま』より転載しています。