癌は現代医学では治らない(4)
先日も、『ガン戦争』のテレビを見たという初老の婦人から電話があったのですが、その方の娘さん、といっても、もう40歳ぐらいで子供さんも二人あるそうですが、胃癌になり、心配しているとのことでした。患者自身、まだ癌ということは知らないけれど、知らせたほうがよいでしょうかと聞かれたので、私としては、
「本当のことを知らせたうえで、皆で頑張るほうがよいと思います」
といいました。しかし、その方の弟さんが、大きな病院の院長をしておられるそうで、相談したら、
「癌にかかったらもう治らないのだから、本人に癌だなどといったらだめだ。治る見込みはないのだから、あきらめるしかない」
といわれたけれど、
「娘が死ぬかもしれないのを、そう簡単にあきらめられますか」
といって、どうしたらよいか迷っておられました。
お医者さんも治らないと思いながらも、するだけのことはしなくてはならない、つらい立場だと思います。
でも、三大療法、つまり手術、化学療法、放射線療法では、患者の体に悪い影響を与え、よくないことがわかっていながら、かたくなにその治療法ばかり守って、他へ目を向けようとしないのはなぜかと不思議に思います。
この記事は昭和62年10月発行の書籍『「主治医」はだんなさま』より転載しています。