癌は現代医学では治らない(2)

 そんなになる前になぜ他の方法を考えないのかと残念に思いますが、はやり医学的なむずかしいことはわからないから、お医者さんにおまかせするしかないと、あきらめてしまうようです。ただおろおろしているだけで、どうしてよいのかわからないのが実情でしょう。しかし、今は健康に関する本がたくさん出版されています。私達素人にも、わかりやすく書いた本がたくさんあります。それらを読んで、いろいろ勉強するのも大事です。

 癌の治療も日進月歩、次々研究開発されてはいますが、まだこれで治るという決め手はないそうです。夢の新薬と騒がれたインターフェロンも、一時は「いくら出してでも手に入れたい」という人がたくさんいたそうですが、これも期待されたほどの効果もなく、副作用があるとなって、今は影が薄くなってしまいました。

 抗癌剤も次々新しいのが作られ、大学病院などでは治療薬として、悪く言えば”人体実験”がされています。
 私の知っている人で、乳癌の手術をした後リンパに転移して、首の横にグリグリができ、それを治すためにと、新しい治験薬を先生が次々使って下さるから大学病院はよい病院だといっていた人があります。
 これがだめなら次はこっちと、次々に試しているから、そのうちどれか体に合うものが見つかるだろう。それが効かなくなっても、まだたくさんあるから心配ないと、先生がいわれるからと安心しておられました。
 また、その方は「抗癌剤を使うと体力が低下するから、薬に負けないよう、どんどん肉でもなんでも食べて体力をつけておいて下さいと先生がいわれるから、頑張って食べている」といっておられたので、私は
「肉類は食べないほうがいいと思うけど」
 と忠告したのですが、素人の私より、お医者さんのいうことが正しいと思われたのでしょう、一生懸命栄養をつけておられました。
 しかし、いろんな治験薬を使っても、リンパの腫れは小さくならず、とうとうその部分だけ切ってグリグリを摘出したのですが、すぐ今度は別のところがふくれてきました。
 それから、再入院となり、抗癌剤の副作用で髪の毛が全部抜けてしまったそうです。髪の毛くらいは、抜けても、また生えて来るのでかまわないでしょうが、その後、乳癌は女性ホルモンと関係があるとかで、開腹手術をして卵巣を摘出したと聞きました。が、それから一カ月ほどで、亡くなられました。この方は最後の最後まで、お医者さんを信じ切っておられたのだと思います。

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この記事は昭和62年10月発行の書籍『「主治医」はだんなさま』より転載しています。


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