癌は現代医学では治らない(1)

 今まで、お医者さんとは偉い人、絶対的な人と思っていましたが、こと癌に関しては、まだまだ無力なのだと、自分が癌にかかって痛感しました。早期発見早期治療で治る人が多くなったとはいえ、卵巣癌や膵臓癌のように見つけにくい癌は、まだ完治させるのはむずかしいようです。私の場合も、主人が何人ものお医者さんに相談したらしいのですが、一人として「大丈夫治りますよ」といって下さる方はなかったそうです。どなたも「腹水が溜まっては、お気の毒だけど、もうだめですね」という返事だったそうです。また「あと○ヶ月の命です」とはっきりいわれたのですが、それは、抗癌剤や放射線治療の副作用に耐えられる期限ではないかと思います。
 お医者さんには、どの薬をどれだけ使ったらどんな副作用が出るか、はっきりわかっているはずです。その副作用に耐えられるかどうかが、その人の運命を左右すると、ある先生から聞いたことがあるのです。

 しかし、生命が脅かされるほど抗癌剤や放射線療法をしても、癌細胞を完全に消滅させることはできないようです。ある程度小さくするだけです。もうこれ以上使えないぎりぎりまで使って、白血球やリンパ球が減少して免疫が低下したから、これ以上は使えないと薬の投与をやめれば、免疫力のなくなった体内で癌細胞は思いのままあばれることができます。せっかく小さくなった癌が、前以上の勢いで大きくなることは目に見えています。
「これだけ手を尽くしたのに、治らないのではもうどうしようもありません」
 と、医者から見放され死を待つよりしかたがないというケースの人を何人か見てきました。

ch5-10

この記事は昭和62年10月発行の書籍『「主治医」はだんなさま』より転載しています。


ページの
トップへ