癌の予防について(1)

 乳癌は、動物性脂肪を多く摂る人において、通常の5倍から10倍の高い発生率を示すことがわかっているそうです。
 また幼児の白血病の増加が妊娠中の母親や、幼児の食生活に原因していることも明らかで、動物性食品の高蛋白、高カロリー食に原因があるそうです。

 動物性食品や白砂糖の多い菓子類を食べていれば、酸性腐敗便の産出の原因になります。そして体全体が酸性化していきます。酸性化した体内では細胞が酸素欠乏の状態になります。
 少し難しくなりますが、細胞がpH(ペーハー)4~5以上に酸性化すると、細胞の原形質膜がマイナスのイオンを帯びるようになり、体液中でマイナスイオンを帯びている酸素とはマイナスイオン同士で反発しあい、酸素が細胞内に入りにくくなり、細胞が酸欠状態になるのです。
 酸欠の原因として、喫煙、大気の汚染、外傷、ストレス、運動不足、発生不足などもあげられます。
 普通健康な細胞は、酸素欠乏の状態では生きていけませんが、酸欠の状態で生き残ろうとして酸素を必要としない嫌気細胞、つまり癌細胞へと変化していくのです。

 よく発癌の実験に、うさぎやマウスにタールを塗るということが行われますが、タールは、空気の断たれた地下で長い年月かかって不完全燃焼して生じた石灰を、さらに空気を断ったところで、高圧、高熱で不完全燃焼させ、中に含まれる酸素が燃焼やガス化で飛び去った残りカスのことです。ですから、高熱で採取されたタールほど酸素欠乏度が高く、酸素をうばう還元性に富んでいるそうです。それでタールを塗られた皮膚は酸素をうばわれ、その部分が酸欠状態となり癌が発生することになります。
 逆にいうと、癌を予防するためには、酸欠状態になる原因を作らなければよいことになります。

 ある程度は自分の注意で防ぐこともできるでしょう。しかし、大気の汚染やたばこの煙に含まれるベンツピレンなどは吸わないでいることはむずかしいことです。

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この記事は昭和62年10月発行の書籍『「主治医」はだんなさま』より転載しています。


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