病は食から(4)

 肉食に適している民族のアメリカでも、20世紀後半になって、成人病が増加しているそうです。その原因がどこにあるのか、アメリカ上院栄養特別委員会(委員長マクガバン)で、1975年から1977年にかけて、世界中の食物と病気との関係を徹底的に調査・分析した結果、脂肪や砂糖類など高カロリーの食物の摂りすぎで、栄養のバランスが崩れていることがわかったそうです。
 これは『マクガバン報告』といわれ、その報告書では、
「現代の医学は病気の症状を薬で一時的に抑える、いうなればごまかし医学である。本当の医学は体の細胞が正常な栄養バランスを得ることによって、つまり蛋白質、炭水化物、脂肪、その他各種ミネラルやビタミンなどをバランスよく得ることによって病気を予防するものでなければならない」
 と指摘しています。

 さらに、同報告書では、分子生物学、分子矯正医学的見地から、従来ややもするとカロリーや蛋白質重視に傾きがちだった栄養学の欠点を指摘し、現在の加工食品、精製食品中心の食事が、ミネラルやビタミンの不足を招き、成人病の増加や新生児の異常、奇形、さらに幼少時の早死にを招いていると指摘しています。
 自動車を走らせるのに、ガソリンだけ補給して、エンジンオイルや冷却水をからっぽにしては車は動きません。エンジンオイルや冷却水、ブレーキオイル、バッテリー液など、いろいろなものがそれぞれ適材適所で働いてこそ、車は会長に走ってくれるのです。

 人間の体もエネルギー源になる三大栄養素、つまり蛋白質、炭水化物、脂肪だけを多く摂っても、それらは体内に入ってスムースに働いてくれません。ミネラル、ビタミン等の手助けがなくては人間の原動力にはなれないのです。それどころか、不完全燃焼を起こし、体内に老廃物を溜めることになります。体内で完全分解されない食物は、酸政腐敗便となり、血液を汚す原因につながるのです。

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この記事は昭和62年10月発行の書籍『「主治医」はだんなさま』より転載しています。


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