病は食から(2)

 昔は野菜は有機農法があたりまえで、害虫を殺すためにと、今のように強い農薬を使うこともありませんでした。収穫量を多くするため、化学肥料をどんどんやり、虫に食べられないよう薬をかけて、害虫が育たないような野菜を人間が食べて体によいはずがありません。化学肥料や農薬のせいで、ミミズやバクテリアも育たない土になって、土質が悪くなるから、作物の生育が悪くなり、さらに大量の化学肥料を使わねばならないという悪循環を繰り返すことになります。さらにひどいのは、水耕栽培です。最近のトマトやキュウリ、年配の方ならおわかりと思いますが、昔、土の上でできた真夏のトマトやキュウリの味がしますか?確かに形や色はトマトやキュウリの態をなしていますが、栄養的にはビタミン、ミネラルなど、自然の状態で作ったものに比べると半分以下だそうです。

 有機農法で土の中の養分を吸収し、日の光を浴びてこそ、体に大事なミネラルやビタミンの豊富な野菜ができるのです。そうしてできた野菜を新鮮なうちに食べてこそ、その野菜のもつ生命力も一緒に食べることになり、生命の糧ともなるのです。

 それを、大企業の営利目的で作られたレトルト食品など、食品の新鮮さなどないものを、テレビコマーシャルにつられて食べていたら、いつか私のように大変なことになります。”ころばぬ先の杖”。健康なうちに日頃の食生活を大事にしていただきたいと思います。

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この記事は昭和62年10月発行の書籍『「主治医」はだんなさま』より転載しています。


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