告知の条件(1)

 テレビ局に寄せられた電話の中にも、「告知は正確な情報の第一歩ではないでしょうか」という意見がありましたが、私もそのとおりだと思います。

 自分の病気がどんな病気なのか、今どんな状態なのか、どんな薬を飲まされているのか、何もわからないでいるのなんて、私はいやです。S病院に入院していたとき、まだ癌とは知らずにいたのですが、フトラフール以外の薬の全部の薬品名、それがどんな薬なのか調べてもらいました。幸い家の隣の奥さんが薬剤師で、病院に勤めておられるので、調べて下さったのです。フトラフールだけは、ただ白い紙に包んであるだけだったので、調べようがなかったのですが、錠剤だったら、それもわかったでしょう。でも、それが抗癌剤だということは、隣の奥さんも、私にいって下さらなかったと思いますが。

 病院へ行って、血液検査や尿検査、血圧検査などをしてもらっても、その結果がどの程度のものなのか、聞いてもわからないから聞かないという人がありますが、ある程度自分の状態を知ることは大事だと思います。今は、専門書ではなく、一般の人にもわかりやすく解説された本も出ているのですから、少しはそういう本を見て勉強するのも大事です。

 病院によっては、検査結果を記入した用紙を下さるところもありますが、もらえない場合も、先生に結果を見たいからといえば見せて下さるはずです。その用紙には正常値が書いてありますから、自分のと比べてみれば、自分なりに、ある程度のことはわかると思います。

ch4-19

この記事は昭和62年10月発行の書籍『「主治医」はだんなさま』より転載しています。


ページの
トップへ