癌と知ってよかった(3)

 その人の性格にもよるのでしょうが、私自身は、知ったほうがよかったと、今も思っています。一時は確かにショックを受けましたが、本当のことを知らされなかったら、そのうち治るだろうと、自分から治す努力をしなかったでしょう。主人が、あれほど心配していろいろ高価な薬を買って来てくれても、飲まなかったと思います。お医者さんがついているのだからと、安心していたでしょう。そのお医者さんが治る見込みがないといっておられるなど、露知らず、呑気にしていたと思います。

 本当のことを知ってからは治りたい一心で、主人のいうことを、それは素直に聞くようになりました。とにかくよいと思うことは、何でもしよう、その中の何かが効いて元気にさえなれたらと、一生懸命になりました。

 この番組に登場した患者は皆、自分が癌であることを知っている人ばかりです。今までに毎年一回ずつ四回放映されていますが、その中で、今も元気にしている人が半数以上おられるそうです。癌と知らずに病院で亡くなっていく患者さんの数に比べ、統計的に高い数字だと思います。やはり、自分なりに注意して健康管理ができるから、よいのではないでしょうか。

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この記事は昭和62年10月発行の書籍『「主治医」はだんなさま』より転載しています。


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