癌と知ってよかった(1)

 広いスタジオにはいろいろな役割の人が、20人以上はおられたと思います。横の”雛壇”には、番組中にかかる電話を受ける女性が100人ぐらいずらっと並んでいました。ライトが煌々と照らす中、久米宏アナウンサーが、テレビカメラの前に、いつの間に着替えたのか、きちんと背広を着て立っておられました。進行係の合図で8時ちょうど、番組はスタートしました。台本も何ももたず、長いセリフをすらすらといわれる久米さんを、さすがだなあと感心して見ていました。

 その後、コマーシャルの間に、私達夫婦、信州から来られたご夫婦と久米宏さんの5人はひとつのテーブルのところに集まり、番組は進んでいきました。

 まず最初、生後六か月で脳腫瘍になり、手術をしても99.9パーセント助からないといわれた赤ちゃんが、丸山ワクチンや霊芝などで、腫瘍が消え、二歳になった今、健康な子供と少しも変わらない生活をしている様子が紹介されました。
 もちろん今は、まだ何もわからない幼児ですが、もう少し大きくなったら、なぜ丸山ワクチンを注射しなければいけないか、お母さんは、はっきりいうつもりだといっておられました。

 次に紹介されたN君は、夜遅い番組で次の日の学校にさしつかえても困るしということで、両親のみが出演されたわけでした。
 N君は、今、小学校五年生で、幼い頃、骨肉腫で片足を切断したといいます。ところが一年前に、お母さんから「あなたは癌だったのよ」と告げられたそうです。足を切断するときのご両親の気持ち、どんなにつらかったことかと思いますが、そのハンディをのりこえて、N君が水泳、スキーなどを上手にしているところがビデオで紹介されました。とても明るい、元気なお子さんのようでした。お兄さん、お姉さんの三人兄弟で、家族の皆さんに暖かく支えられ、のびのびと育っておられる様子がうかがえました。お父さんは、
「告知してから、家族皆、気が楽になり、明るくなった」
 と、いっておられました。

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この記事は昭和62年10月発行の書籍『「主治医」はだんなさま』より転載しています。


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