ついに『奇跡』を勝ち得た(4)

 癌の告知がよく話題になりますが、自分が癌になったときは、本当のことを知らせてほしいと思いながらも、家族の他の者が癌になったときは、告知はしないという矛盾した”アンケート結果”を新聞で見たことがあります。私も正直いって、家族の一人が癌になった場合、本当のことをいう勇気があるかどうかわかりません。でも、隠すのは、癌の宣告イコール死の宣告を思っているからで、「治るのだ、治すのだ」ということを前提に、皆で力を合わせて頑張ろうと思うのだったら、本当のことをいって励ましてあげねばと思います。

 看病する人が、一生懸命になっている様子を見れば、患者は、その厚意に報いるためになんとかして元気にならねば申しわけないという気持ちになるはずです。その「どうしても治ろう」と思う心が、自ずと病気に打ち勝つ力を出すと思います。自分の病名も知らず、何の薬をのまされているのかもわからず、お医者さんまかせになっているのは、私は、いやです。検査の結果も、どの程度なのか、ある程度は知っておくべきだと思います。そのためには、少しは医学的なことも勉強しておくべきです。

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この記事は昭和62年10月発行の書籍『「主治医」はだんなさま』より転載しています。


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