再々入院、手術決行(4)

 先生は、毎日手術の決心がつきましたかと、聞きに来られるし、困ってしまいました。そのうち私も、こんな熱や痛みでつらい思いをしているより手術をして早く楽になりたい、と思うようになりました。

 お腹が痛くならなかったら、手術に応じず無理に退院したかもしれません。腹水が溜まってきたらしいということが、私には一番の恐怖でした。しかし、今度のは浸透圧の関係で溜まってきたのだから、前のときとは違うはずだと思いましたが、腹水による苦しさに変わりはありません。どんどん溜まって来たらどうしようという不安が出てきました。それに先生が、これほどいわれるのだから、もう切ってしまおうか……いろいろ思い悩んだ末、とうとう手術に応じることにしたのでした。患部を開いてみたが、切り取らず、そのまま閉じられた、というケースをよく聞いていましたので、先生に、
 「切るからにはきれいに取ってくださいね。癒着がひどく取れなかったということになるようでしたら、切らないほうがましだから」
と、お願いして、いよいよ”俎板の鯉”となりました。

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この記事は昭和62年10月発行の書籍『「主治医」はだんなさま』より転載しています。


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