再々入院、手術決行(3)

 そんなある日、これが最後の検査ということで、超音波で見ながら、嚢腫の袋状の一つに注射針をさして中の水を抜き取り、その水を分析する検査がありました。腹部に麻酔の注射をして、痛くないようにしたのですが、何か変な不快感がありました。

 次の日の朝、お腹が痛くて、起き上がるのもつらく、食事もとる気が全然しませんでした。熱を計ると38度にもなっていました。
 毎朝、目が覚めたらお腹をなでてみるのが、私の日課になっていたのですが、いつものゴロッと手に触れる塊がなく、お腹が、ダブンダブンしている感じでした。部長先生が回診に来られ、
「昨日は水をどのくらい抜いたのですか」
 と聞かれるので、
「小さな注射器に少しでした」
 というと、「おかしいな、お腹の様子が変わっていますね」といわれました。

 超音波で見たら、嚢腫の水泡に注射針をさしたショックで、水泡がはじけてしまったらしく、まるで破れたゴム風船のようにペロンペロンとしたものが写っていました。
 嚢腫の中の液体が、腹腔内に流れ出し、それが浸透圧の関係で呼び水となったのでしょう。腹水が溜まり始め、尿の出が少なくなっていきます。

 熱はあるし、痛みはひどいし、帰りたくても帰れなくなってしまいました。

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この記事は昭和62年10月発行の書籍『「主治医」はだんなさま』より転載しています。


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