再々入院、手術決行(2)
IAPは正常値でしたが、超音波で見ると、握り拳大の癌らしい”かげ”があり、そのうえに嚢腫らしいマスカット大の袋状のものが、はっきり写っていました。上向きに寝てお腹をなでると、はっきりゴロッとしたものがあるのは、自分でもわかっていました。これだけ先生がいわれるのなら切ってしまおうかと思ったりもしました。でも、和歌山のS医師からは、「切らずに元気になれてよかった。切っていたら全身に広がって手のつけられない状態になっていたかもしれない」といわれていたし、ずいぶん悩みました。
夕方、薄暗い診察室で、主人と先生と三人、分厚い専門書を前に、二時間ぐらい話し合ったこともありました。先生は、
「おそらく、癌の上に嚢腫ができているのだろう。今元気だからといっていつまでも今のままいられる保証はないし、今度悪くなったら手術もできなくなるかもしれませんよ」
といわれ、今が手術のチャンスなのかなと思ったりしました。
この記事は昭和62年10月発行の書籍『「主治医」はだんなさま』より転載しています。