これで癌から生還できる!(1)

 されど、少しも快方に向かう気配がなく、そのうち主人も弱気になりかけていったようです。和歌山で開業医をしている従兄弟のS医師にも度々何か打つ手はないのかと頼むように聞いたそうですが、従兄弟は「とても無理だろう」といいました。しかし、続けて、
「でも”スクアレン”という深海ザメの肝油から抽出したエキスが、少しは延命効果があるというデータが出ているから、飲ませてみたらどうか」
と、教えてくれたそうです。でもそれがどこで売っているものやらわからず、また粗悪品をつかまされてもと思い、入手せずにいました。

 そんなある日、主人が、新大阪駅に近いTさんの事務所を訪れたときのことです。Tさんは、ビタミンCやE、ゲルマニウムなどを入手する折、いろいろとお世話いただいた方でした。

 先客がありました。主人は、ぼんやりと窓の外を眺めながら、待っていました。しかし突然、それこそ机をひっくり返さんばかりの勢いで立ち上がったといいます。

 先客は、中国製の深海ザメの肝油を、商社を通じて日本へ売り込みたいということで商談に来られていたのでした。その先客の「これは、癌に効くのです」という説明の「癌」という言葉が、はじめるようにして、主人の耳に飛び込んできたのでした。

 主人は、条件反射的に、「今それを探している。あったらすぐわけてほしい」とお願いしたそうです。

 もし、そのとき、Tさんの事務所に行ってなかったら、深海ザメの肝油から抽出したスクアレンを入手するチャンスもなかったかもしれません。

商談

この記事は昭和62年10月発行の書籍『「主治医」はだんなさま』より転載しています。


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