これで癌から生還できる!(2)

 主人は、その場で、和歌山のS医師に「スクアレンのことをくわしく知りたい」と電話するなり、難波駅に向かいました。難波駅で特急電車を待つ間、近くの本屋でスクアレンのことを書いた本を探しましたが、なかったそうです。「ブームのときには何冊も出版されていたが…」と、本屋の主人はいっていたといいます。

 しかし、S医師のところに行ってみると、スクアレンに関する学術的な文献や資料がたくさんあったそうです。
 中でも「鮫肝油に癌抑制効果」と書かれた新聞の切り抜きに、主人は目を奪われたといいいます。それは、55年10月26日付の読売新聞で、サブの見出しには免疫強めるスクアレン」とあったそうです。

 主人は、「これだ!」と、閃くものを感じ、食い入るように見入ったといっていました。
「これできっと治る。癌から生還できる!」
 という希望が湧いたともいっていました。

 記事の内容は、癌に関する二つの国際会議で、日本の学者の発表した”癌抑制とスクアレンの効果”について紹介したものでした。ひとつは、ロンドンで開かれた『癌の発見と予防に関する第四回国際会議シンポジウム』で、国立癌センター化学療法部長である池川哲郎博士の発表した「スクアレン投与により、マウスの移植癌の肺への移行が著しく抑えられた」という実験結果を紹介するもの。もうひとつは、イタリアのサンレモで行われた『凍結外科療法に関する第四回世界会議』で、長野県厚生連北信総合病院の大熊哲汪博士が「スクアレンが癌に対する免疫を強化すること」を確かめた実験結果を紹介するものでした。

 主人は、熱心にメモをとりました。しかし、そうゆっくりしてもいられず、大阪へ舞い戻ると、Tさんに、「サメの肝油が今すぐ手に入らないか」と電話したといいます。

 Tさんは、「とりあえず飲むくらいならもっているよ。明日お届けするよ」と答えられたのですが、主人は「今すぐ行くから」と、帰り支度をしていたTさんに待ってもらって、その日のうちに肝油を手にしたのでした。

新聞

この記事は昭和62年10月発行の書籍『「主治医」はだんなさま』より転載しています。


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