再び腹水の苦しみが(2)

 マッサージをしてくれる人でMさんという若い人がいました。彼女は、いつもていねいに時間をかけて、私の体にマッサージをほどこしてくれました。歯をくいしばって、お腹よひっこめと、それは一所懸命になってくれて、その真心をとてもうれしく思いました。

 でも、腹水は増えるばかりで、どうしようもありませんでした。そして、腕や足がいっそう細くシワシワになって、一日おきの丸山ワクチンの注射の針も、皮をひっぱってもらわないと入らないくらい皮がたるんでいきました。

 残暑厳しい頃でしたが、カーディガンをはおったり、車に乗ってもヒーターをつけたりしないと寒くてしかたがありませんでした。内心”棺桶に片足つっこんでいるのかな”と思いました。

 S病院には断食道場にいる間も、定期的に検査をしてもらいに行っていました。先生も「元気になってよかったね」と喜んで下さっていたのですが、再び腹水が溜まってきたため、例のピシバニールの注射を、また打たれました。ところが、一度注射しただけで、次の日には、お尻が真っ赤に腫れてさわれないぐらい痛くなり、とてもマッサージなどできる状態ではなくなりました。それに、断食道場では再発した人は受け付けないということでしたから、マッサージに通うのはやめてしまいました。

寒気

この記事は昭和62年10月発行の書籍『「主治医」はだんなさま』より転載しています。


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