再び腹水の苦しみが(1)

 しかし、そのように細心の注意を払っていたにもかかわらず、8月に入ると、少しずつまたお腹が大きくなってきました。

 あいかわらずミルクを飲み、毎日主人や子供にマッサージもしてもらっているのに悪くなっては、もうどうしたらよいのかわかりません。断食道場で「現代医学では癌は治らない。抗癌剤や放射線療法は体に害があるばかりで、だめなのだ」と、さんざん聞かされていましたので、抗癌剤に頼る気にはなれません。現に、私もその苦しみは体験しているだけに、再びあの苦しみは味わいたくないという気持ちがありました。では、どうしたらよいのか、と自問しても答は出てきません。

 とにかく、専門の人にマッサージをしてもらおう、主人や子供では、どこか違うのかもしれないからと、それから毎日、断食道場までマッサージに通いました。朝、主人の車で送られて断食道場まで行きます。主人は私を降ろしてから、自分の経営する会社へ向かうという日が続きました。そして、朝のマッサージが終わってから、私は、電車で主人の会社へ行き、昼からもう一度、マッサージに戻り、再び主人に迎えに来てもらって家まで帰っていました。しかし、そのうち、駅の階段の昇り降りや、歩くのがつらくなり、朝、車を道場前に置いといてもらい、自分で運転して、断食道場と会社を行ったり来たりしていました。

この記事は昭和62年10月発行の書籍『「主治医」はだんなさま』より転載しています。


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