つらい検査の日々(2)

 じっとベッドに横たわっているだけでも苦しいのに、検査検査で本当につらい思いをしました。まず胃の透視で、生まれてはじめてバリウムを飲みました。コップ二杯分ほどが入った缶を渡され、少量の水で発泡剤を飲んだ後それを全部飲むようにといわれましたが、気持ち悪いのとお腹が苦しいのとで、なかなか飲めず、少しずつどうにか半分くらい飲みました。残りを無理に飲もうとして気分が悪くなり、吐いてしまいました。先生も、これ以上は無理だといわれ、そのまま何枚もレントゲンを撮りましたが、台の上で横になったり下向きになったり、台そのものが上下に動いたりで、そのとき台に必死でしがみついていたのを覚えています。

 CTスキャンでは、
「お腹が膨れているので画面からはみ出すから、あまり大きく息を吸わないようにして息を止めているように」
 と注意されましが、大きなお腹はどうすることもできませんでした。

 放射性同位元素を静脈に注射して、それが体内のどこに集まるかを調べ、癌のある場所を探す「RI」という検査もありました。かたい台の上に身動きすることもできないまま長い間じっと寝かされ、大きなドラム状のものが体の上を少しずつ移動していくのですが、背中がひきつるように痛くなり我慢できず、中断して休ませてもらいました。

 心電図、超音波診断などは楽でした。また、手術の用意だったのか、肺活量を計ったり、凝血反応を調べたりもしました。息が思うように吸えない者の肺活量など計るのは無茶なことです。何回やっても、少ししか息が吐けませんでした。そのほかにも、血液を取ったり、腹腔内に直接注射針をさして腹水を抜き、その成分を調べたり、胸と腹部のレントゲンを撮ったりと、ずいぶんいろいろな検査がありました。

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この記事は昭和62年10月発行の書籍『「主治医」はだんなさま』より転載しています。


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