断食道場(4)

 病院では二か月間一度も入らせてもらえなかったお風呂も、入ってもよいとのことでした。身体を拭くだけでは垢はとれず、垢で毛穴が完全に塞がって腕の産毛など、角質の下にまるまって上に出ていませんでした。二カ月もお風呂に入らないと、こんなになるのかと腕を眺めたものでした。ところが、ここでは毎日入浴するほうが血液の流れにもよく、裸になることは”空気浴”になり、体によいとのことでした。一日目は急にお湯につからないほうがよいと、同室の先輩が教えてくれたので、サッと洗い流すだけにしました。二日目、石けんをつけて洗ったら、垢がゴロゴロ出ました。
 お湯につかると体力を消耗し疲れるといいますが、それと毛穴が塞がれて皮膚呼吸ができないのとでは、どっちがよいのだろうと疑問に思いました。

 癌の人ばかり一緒に生活していると、お互いに励まし合い、私も頑張らなければと思いました。

 朝六時半から屋上でラジオ体操がありました。長い間、じっと寝ていたので、体を動かすのがこわかったのですが、毎日頑張って続けました。中には気力がなく、出て来ない人もありました。でも、私は、ここでくじけてはいけないと、気力で頑張っていたような気がします。

 食事療法の本や癌に関する本がたくさん置いてあり、毎日読みました。その中で、森下敬一先生の『ガンは怖くない』という本が、とてもよかったと記憶しています。今も食事療法の参考にしております。

シャワー

この記事は昭和62年10月発行の書籍『「主治医」はだんなさま』より転載しています。


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