断食道場(3)

 しばらくすると、熱や吐き気もなくなり、ミルクも飲めるようになりました。少しは下痢もするようになりました。そんなとき、マッサージをする人が、
「お腹がやわらかくなってきた。もしかしたらうまくいくかもしれないな」
 と、いわれたのです。

 私は、この療法を信じ治ると思っていたのに、今頃「治るかもしれないな」といわれることは、はじめはどうなるかわからないということだったのだろうかと、訝しく思いました。でも、よいほうへ向いてきたのは確かなのだと、気持ちが楽になりました。「これは、うまくいくかもしれないな」という一言でどれほど救われたかしれません。「うまくいかなきゃ困るわ」などと冗談もいえるくらい明るくなりました。痛くてたまらなかったマッサージにも慣れて、気持ちよく感じるようになりました。

 気持ちよさそうに揉んでもらっているのを見て、主人はうらやましそうに、「ボクもしてほしいな」というので、見よう見まねで覚えた指圧を、病人の私が主人にしてあげたりできるようになりました。ミルクしか飲んでいないのに、体力はそれほど衰えず、結構力もあり、主人は「気持ちいい。よく効くよ」といっていました。

マッサージ

この記事は昭和62年10月発行の書籍『「主治医」はだんなさま』より転載しています。


ページの
トップへ