愛情で治してやる!(2)

 主人は、若い頃、胃が弱くひどい胃下垂で、そのうえ胃潰瘍になり、手術しないとだめだといわれたことが何度もありました。しかし、それを自分の努力で完全に克服してしまいました。身長1メートル75センチ、体重わずか52キロとヒョロヒョロだったのが、今では体重も68キロで、健康そのものです。現代医学では胃下垂など治るものではないと思われていますが、努力すれば治るのです。その体験があるだけに、医者から見放された癌でも何か他に治す方法はないかと、現代医学以外の、いわゆる「民間療法」へ目を向け、書物を読み漁り、会う人ごとに相談してまわったわけです。あとで知人に聞いた話ですが、主人は、
「医者は助けられないといっているが、自分の力で絶対助けてやる」
 と断言していたそうです。
「ご主人の信念ですね。まさかと思っていましたが、本当にそうなりましたね」
 と、その知人はいいました。

 親戚の人も助かるようにと祈りながらも、喪服の用意をしていたと、あとで聞きました。それは仕方のなかったことでしょう。ただそんな中で「絶対治してやる!」と信じきり努力してくれた主人のお陰で、私は命拾いすることができたのだと思います。
 主人は毎日見舞に来て、
「ボクのいうことを素直に聞いていたら絶対治る。愛情で治してやる」
 とよくいっていたものでした。

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この記事は昭和62年10月発行の書籍『「主治医」はだんなさま』より転載しています。


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