第一章 突然の入院
原因不明の痛み (1)
若い頃からお世辞にもスマートとはいえない私でしたが、子供が生れてますます太くなりました。 そこで、もう少しスマートにならないものかと、ママさんバレーの仲間に入れてもらったり、ヨガ教室に通ったり、いろいろ努力しておりました […]
原因不明の痛み (2)
しかし、辛抱強い私も、日に日に強まる痛さにとうとう我慢できなくなり、主人に話しますと、「とにかく一度病院へ行ったらどうか」といわれ、やっと重い腰を上げました。それでも、お産のとき以外病院のお世話になったことがない私でした […]
原因不明の痛み (3)
それから、私は”絶対安静”で、トイレに行くことも禁じられてしまいました。でも、ポータブルトイレで用を足すのがいやで、看護婦さんの目を盗んでそっとトイレに行っていました。 先生からは、「骨盤腹膜炎なら、二、三日うちに高熱が […]
腹水が原因だった (1)
さて、退院する日のことです。入院するときはいてきたスカートがはけない。どんなに頑張っても、ウエストがきつくてホックが止められないのです。大した病気でもないのに20日間もじっと寝ていたので、こんなに太ってしまったのかとショ […]
腹水が原因だった (2)
退院後、何回か血液検査をしましたが、白血球が一万四千もあり、炎症反応も”プラス”で「どこかに炎症があるのは確かだから」と、先生は抗生物質の飲み薬を出して下さり、飲みはじめました。でも白血球数は下がりませんでした。 効果の […]
腹水が原因だった (3)
56年のお正月を迎えました。そして、二月、三月と相変わらず、お腹が張って苦しいと思いながら過ごしていました。その頃、体重は64キロのままでした。しかし、腕や太ももは少し細くなり、背中の贅肉が落ち、そのぶんウエストが太くな […]
腹水が原因だった (4)
その夜を境に、痛みが激しくなっていきました。月曜日、火曜日、水曜日まではなんとか我慢して家事もしていましたが、木曜日になると、とうとう起きていられなくなってしまいました。また日に日にお腹が大きくなり、苦しくて息も吸い込 […]
腹水が原因だった (5)
主人の友達で、インド人のSさん夫妻が大阪のS病院の婦人科の先生と親しく、一度診てもらったらとすすめて下さっていたのですが、とても茨木市から大阪まで車に揺られて行ける状態ではなく、市内の病院へ行きました。そこで診察室に入 […]
つらい検査の日々(1)
次の日もお腹は痛く、歩くのがつらいほどでしたが、主人に会社を二日も休んでもらうのは悪いので、毛布など重いものは子供に車まで運んでもらい、門の横のガレージまでやっとこさ歩き車のシートに坐り込むと、自分で車を運転して、高槻 […]
つらい検査の日々(2)
じっとベッドに横たわっているだけでも苦しいのに、検査検査で本当につらい思いをしました。まず胃の透視で、生まれてはじめてバリウムを飲みました。コップ二杯分ほどが入った缶を渡され、少量の水で発泡剤を飲んだ後それを全部飲むよ […]
つらい検査の日々(3)
その結果、卵巣が少し腫れているからと、また婦人科へまわされてしまいました。 そこでまたいろいろな検査があり、先生は私に、「卵巣が少し腫れているから、手術しましょう」といわれました。 しかし、主人には、 「卵巣癌の末期 […]
つらい検査の日々(4)
婦人科に来てから、手術後の点滴のために今は血管を大切にしたいということで、栄養剤の点滴がなくなりました。手術は腹水を抜いてからということでした。先生は私のお腹に局部麻酔の注射をし、超音波で腹腔内を見ながら、腸を傷つけな […]
S病院へ転院(1)
チューブを腹部にさしこまれ、身動きできない状態でベッドにしばられていたとき、主人は混乱した頭のまま、大阪のS病院と高槻のN病院の間を行ったり来たり、親戚や知人に電話をしたり、それは大変だったようです。 半年前、二十日 […]
S病院へ転院(2)
S病院に着くと、和歌山のおばさん、堺に住む主人の妹、大阪市内にいる主人の姉、武庫之荘にいる私の妹が、待ち構えてくれていました。手遅れの癌であと一、二カ月の命と聞き、皆びっくりして駆けつけてくれたのでしょう。私は、あまり […]
不吉な予感(1)
一人でじっと寝ていると、つまらないことを考えるものです。このままよくならずに死んでしまうのではないかとふっと不安になったり、私がいないくなったら、あとに残った家族はどうなるのだろう。家の中のことなど、娘達にもっとあれこ […]
不吉な予感(2)
隣室には60歳代のおじいさんが入っておられ、奥様がずっと泊まり込みで看病しておられました。24時間点滴をし、寝たきりでした。 「胃潰瘍の手術をして5カ月になるのに、全く食べ物が口にできず、吐き気が続いているのです」 と […]
不吉な予感(3)
その後、隣の病室に入って来られたのは婦人科の方でした。手術をして、そのまま運ばれてこられたようで、いつも二、三人の付き添いの人がじいっと見守っているようでした。入口には酸素ボンベが置かれ、ボコボコと泡を立てていました。 […]