腹水が原因だった (5)

 主人の友達で、インド人のSさん夫妻が大阪のS病院の婦人科の先生と親しく、一度診てもらったらとすすめて下さっていたのですが、とても茨木市から大阪まで車に揺られて行ける状態ではなく、市内の病院へ行きました。そこで診察室に入るなり、「腹水が溜まっていますね。肺が圧迫されるから苦しいのでしょう。首の静脈がこんなに浮き出て!すぐ入院しないといけませんね」と、いわれたのでした。

 蛙のお腹のようになっていながら、それまで、”どうしてこんなにお腹が張るのだろう、腸内で異常醗酵でも起きてガスが溜まっているのだろうか”くらいにしか思っていなかったのですから、今から思うと、本当に迂闊でした。健康を過信し、自分が病気になるなんて考えたこともなかったのですから、無理からぬことかもしれません。

 レントゲンを撮り、そのフィルムを見せてもらいましたが、腹水のため横隔膜が押し上げられ、心臓が肺にめり込んでいました。これでは息を吸うのが苦しいはずです。
 でも「この病院はとても混んでいて空部屋がなく、いつ入院できるかわからないので、高槻のN病院へ行くように」といわれ、トンプクの利尿剤をもらい、その日は家に帰りました。

 帰ってすぐ利尿剤を飲むと、一時間もしないうちにトイレに行きたくなり、しばらくトイレから出られないほど、たくさんのお小水がダラダラと出続けました。考えてみると、この二、三日、あまり尿意がなかったことに気づきました。あぶなく尿毒症を起こすところだったのではないかと思っています。

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この記事は昭和62年10月発行の書籍『「主治医」はだんなさま』より転載しています。


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