腹水が原因だった (4)
その夜を境に、痛みが激しくなっていきました。月曜日、火曜日、水曜日まではなんとか我慢して家事もしていましたが、木曜日になると、とうとう起きていられなくなってしまいました。また日に日にお腹が大きくなり、苦しくて息も吸い込めないのです。お腹が膨らむだけ膨らんでしまい、息を吸い込む余地がなくなってしまったのです。
その苦しさといったら経験した者でないとわからないでしょう。病院へ行きたくても、痛いのと苦しいのとで、動くことができません。胸が苦しく、上向きにも横向きにも寝ることができず、正座して膝を広げ、大きなおなかを膝の間に置いて、ベッドのふちに前向きになって頭をもたれさせ、ときどき、うつらうつら眠るのがやっとの状態で、三日間過ごしました。
前に入院したとき、安静にしていたら痛みが和らいだので、今度もじっとしていれば少しは楽になるだろうと、三日間、苦しさにうんうんうめきながら、まるで蛙のような恰好をして過ごしたわけです。苦しそうにしている私に、主人はしんぱいして背中をさすってくれたりしていましたが、その三日の間に背中の贅肉がなくなり、骨が手に触れるようになり、あまりに急に痩せていくので、びっくりしていたようです。
それでも安静にしていたのがよかったのか、次の週の月曜日には少し楽になり、主人に会社を休んでもらい、病院へ連れて行ってもらいました。
この記事は昭和62年10月発行の書籍『「主治医」はだんなさま』より転載しています。