良心の運んできた『お加護』(1)

 入院していたときは、病院で尿量や腹囲を計ってくれていましたが、二度目の腹水が溜まりだしてからは、毎日自分で腹囲を計り、尿の量や回数も記録していました。

 その腹囲ですが、9月頃から毎日大きくなるばかりだったのに、12月の中旬頃、1センチほど減っていたのです。 計り方が悪いのかなと何度も計ってみましたが、間違いないみたいです。
 でも、まだ信じられない気持ちでした。主人も、1センチぐらい、計り方でどうにでもなると、その日は信じてくれませんでした。

 でも、次の日も1センチ、次の日も1センチと、確実に減っていくではありませんか。もう苦しくなったら抜きとる以外に方法はないだろうと思っていたのに、なんと自然に減ってきたのです。
 そのときのうれしさといったら、それはもう例えようがありません。主人も、計り間違いではないとわかり、本当に喜んでくれました。

 今まで、ほんの少ししか出なかったお小水が、人並に出るようになりました。500ccのコップをトイレに置いていたのですが、朝など、そのコップから溢れることもありました。
 勢いよく出るお小水に、これほどありがたいと思ったことはありません。出るものが出ないということは、本当に大変なことです。健康な人だったらあたりまえのことですが、病気になってはじめて、そのありがたさを感じました。

 今もトイレに行くと、
 「ああ、ありがたい。たくさん出る」
 と、神に感謝する気持ちになります。「トイレが近くって」と、こぼしている人がありますが、この気持ち、健康な人には理解してもらえないかもしれませんね。

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この記事は昭和62年10月発行の書籍『「主治医」はだんなさま』より転載しています。


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