断食道場(2)

 主人にしても、食欲もなく衰弱している病人に断食をさせるなど、大変な勇気が要ったと思います。親戚の者や、私の両親など、そんなことして大丈夫かとそれは心配したそうです。K先生の著書を読み、考えに考えた末、その本をもって病院の先生のところに行き「断食をさせたい」と話したときは、先生もびっくりされたようです。でも、先生も本を読んで下さり、「完全な水断食ではないから、それほど心配はないでしょう」と退院を許可して下さったそうです。

 注射の副作用がきついから注射の回数を減らしてほしいとか、病院の薬以外にいろいろよいといわれるものを家からもって来て飲ませたり、丸山ワクチンをお願いしたり、病院の治療方針の妨げになるようなことばかりしていたのですが、S病院の先生は、嫌な顔ひとつせず、勝手なお願いを心よく承諾して下さり、本当によくして下さいました。

 断食に行くときも、
 「心残りのないよう、よいと思うことは何でもやって下さい。ご主人の決意には感服します。少しでも可能性があると思われることなら、ぜひ、やってみるべきでしょう。私も応援します」
 といって下さったそうです。

 また、断食道場へ行く私をニコニコして見送って下さり、「早く元気になってね」と、手を強く握りしめて下さったことを覚えています。

先生

この記事は昭和62年10月発行の書籍『「主治医」はだんなさま』より転載しています。


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