「おまえは、末期癌なんだよ」(3)

 断食といっても、何も食べない水断食とは違い、赤ちゃん用の粉ミルクに酵素などを混ぜて食事代わりに飲むのです。二週間ほどしてから、一週間ほど完全に水だけの断食もあります。

 現代医学では「癌細胞とは、ある日、突然変異ででき、それがどんどん細胞分裂をして増殖し、最後には宿主である患者に悪い影響を及ぼし死に至らしめるもの」と定義されているそうです。また、現代医学では「血液は骨髄で造られる」といわれていますが、K先生の説は、それとは根本的に違います。それは、「千島学説」でいう”腸造血説”のうえに成り立っています。

 つまり、「血は腸で造られる。食べたものが消化し、腸で吸収され血となる。乳酸菌が多い腸は腸内腐敗菌が少なく、きれいな血が造れる。逆に宿便など、酸性腐敗便が溜まった腸ではきれいな血が造れず、それが血液の汚れとなり、癌の原因となる。また全ての細胞は赤血球が分化してできるもので、断食などで栄養を断つと、細胞は赤血球に逆戻りする。そのとき癌細胞等、本来不用な細胞が正常細胞よりも速く赤血球に逆戻りする」というのです。この説は、今、漢方などでもとりあげられています。

 完全に栄養を断ち、体内の癌細胞が全部血球に戻って主要が消えれば、それが一番よいのですが、癌が完全に消えるまで何も食べないでいるのは、大変なことです。そこで、いろいろ工夫して、ミルクを飲むという半断食を考えだしたのだそうです。また、ミルクの中の乳糖が腸内有用菌の乳酸菌の増殖を助けるということです。

「濃いミルクを飲むことで下痢をさせて宿便をとり、腸をきれいにして、きれいな血を造り、マッサージで血液の流れをよくして、酸素を体中により多く送り、細胞の正常化を促し、栄養を断つことで癌細胞を”退縮”できる。体中に癌があっても根本的に治すのだから心配ない」
 というK先生の説明に、私は、現代の対症療法よりよいのでは、と思いました。

ミルク

この記事は昭和62年10月発行の書籍『「主治医」はだんなさま』より転載しています。


ページの
トップへ