原因不明の痛み (2)

しかし、辛抱強い私も、日に日に強まる痛さにとうとう我慢できなくなり、主人に話しますと、「とにかく一度病院へ行ったらどうか」といわれ、やっと重い腰を上げました。それでも、お産のとき以外病院のお世話になったことがない私でしたから、病院へ行くのは一大決心が必要でした。痛みの状態から、自分なりに考えてみて、”婦人科”へ行きました。55年11月中旬のことでした。長い時間待った後、内診と血液検査があり、「二週間くらいしたら検査結果がわかるから来て下さい」といわれ、その日はそれだけで家へ帰りました。

しかし、痛みは強くなるばかりでした。とても二週間待っていられないので、二日後にまた病院へ行きました。下腹部を押えられると痛がる私に、先生は、「骨盤腹膜炎の疑いがあるから、絶対安静にしなくてはいけない。このまますぐ入院して下さい」といわれました。

私は、本当にびっくりしてしまいました。入院など考えてもいなかったのです。またいろいろ準備もあるからと、無理をお願いして一度家に帰らせてもらいました。途中スーパーに寄り、二、三日分の食料と、入院に必要なもの一式を買い込み家へ帰り、主人に電話をして病院へ戻りました。毛布、ねまき、洗面用具、ポット、ゆのみ等、相当な荷物でしたが、車に積み込み、一人で運転し病院に戻ったのです。いつもは帰りの遅い主人も、夕方六時頃には病院へかけつけてくれました。

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この記事は昭和62年10月発行の書籍『「主治医」はだんなさま』より転載しています。


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